見慣れたはずなのに、見慣れぬ姿。
「つまんね」
猫のように彼の長い後ろ髪をいじりながら、ぽつりと呟いた。
いつもなら指に絡まるほど長いのに。
髪は、いつものように高い位置で括れるほどの長さはなく、中途半端な長さになって、首の後ろで一つに括られていた。いつもなら下ろせば背中の半分まで達するほど長いのに、今は肩甲骨あたりで揺れている。
その失った長さが、今は、痛い。
髪なんて、どうってことない。本人が生きていればいいと思っていたはずなのに。
あの長さがないのが、こんなにも面白くない。
「じゃあ離せよ」
「やだ」
髪を梳く。いつもより短いそれが、物足りない。物足りなくて、何度も何度も梳いた。括ってあった紐を解いて、何度も。
「……すぐに伸びる」
小さくため息を漏らして、呟いた。
「じゃあさ、今すぐ」
子供じみた我侭だと理解しているけど、どうしようもなかった。
「……髪くらい、どうってことないだろ」
「やだ」
「ぼくは生きてるんだし」
「それでも」
髪だって、おまえの一部なんだから。
「なくなるのは、いやだ」
こんなにもあの長い髪に執着するだなんて、思っていなかった。
えーと。銀魂の紅桜編に触発されました。だって戦闘中に髪くらい切られちゃうかもしれないじゃないですか!なんかぽんぽん揺れてるし、あの髪!
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